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診療の紹介

コロンブスの卵

広く知悉されるコロンブスだが、彼は、アメリカを発見したわけではない、いわばアメリカを発明したのだ。
巷間言うところの偉業も、当時の倫理観や社会情勢は、今日とはまるで異なり、ソマリヤ沿岸の人々の稼業と、さして変わらぬノリで行われた事も忘れてはならない。また、アメリカ原住民に最初に見つけられたという、うれし恥ずかしの栄誉も、元祖や本家を争う、アメリゴ.ベスプッチなる仁もいて、結構、フクザツなのだ。

数多い彼の逸話で、最もポピュラ−なものに“コロンブスの卵”がある。

発想の柔軟性や、機知の大切さを戒める故事として使われるが、私も、よりマシな治療が“コロンブスの卵”的に閃かないかと、星に願いをかける診療の日々を送っている。(安直さは認める)

それなりに進歩しているとはいえ、“ホワイトニング”にはさほどの思い入れはなかった。

髪の毛の脱色のノリで、歯をテキト−に白くする程度に考えていたのだが、これにマジメに取り組むと、意外に治療のバリエ−ションが多い事がわかった。
困難とされた色調のコントロ−ルも、使用機器、薬剤の選択の順列組み合わせで、ある程度、可能となるようである。

そもそも不条理に満ちた、この現世である。
長年、ただのカエルと思っていたら、いきなり王子様やらお姫様やらになるのもありかも知れぬ。これが私の臨床の幅を広げる、よいチャンスとなれば有難いではないか。

ふいの第二幕の幕開きに、あわてて腰をおろすようで気恥ずかしいが、このテを“再発見”したというのがハナシのミソなのだ。
ことに審美歯科の定番であるセラミックス.ワ―クとの治療的融合は、可能性の余地を感じる。

(なぜかコンロで卵料理を作ってみたくなった)

before after(To Be Continued)
よくあるトラブルである。ヒトの天然歯は増齢とともに、色調が暗くなる。左上(向かって右側)に、10年前に入れたセラミックス補綴(ヒニクにも、全く劣化しないのだ)と天然歯の色調がアンバランスとなり、審美障害を主訴として受診。 クリ−ニングの後、KTP/Nd:Yagレ−ザ−を短時間照射した直後。
トラブルが完全に解決したわけではないが、色調はかなりスッキリした。さらに最新セラミックス.ワ−クでの仕上げを予定している。


ホワイトニングにより歯の色調が安定したので、まず、上顎前歯から小臼歯にかけ、セラミックスシェルと、ジルコニアオ−ルセラミックス冠による修復を施し、ご本人の満足度を確認中。(審美的評価はあくまでも患者さんが決める)

※専門的には歯頸線の不ぞろい等、改善の余地はあるが、歯医者は治療ハ−ドルの高さを決めるほどエラくないのだ。(ことに私はエラくないのだ)


before
セッションを重ね、○○さんのさらなる美の発現にむけ、治療のスタ−トをきった。

after
○○さんには約8ヶ月お付き合いいただいたが、治療の完了にあたって、感慨に浸るものは多い。
私自身も長い治療のうちには、自信、気力の半減期があり、“孔子のイハク、捨ツラルレバスナハチ隠ル”である、○○さんの笑顔に辛くも支えられる局面は確かにあった。
“落としどころ”(というか、満足のゴ−ル)の難しい審美治療でもある、○○さんの、お人柄があったからこそ、スンナリまとめ上げられた症例でもあった。
今でも○○さんが私を優しく励ますお声を思い出すほどだ。『しっかりやらんかい! ワレェ』←ウソ

 

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