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診療の紹介

矯正治療のハナシ

  矯正は、狭い口腔の、それも一部エリアにおける歯の配列具合を、ウンヌンする治療である。

しかし、それにより得られる数ミリ、1度2度といった差が、歯列のみならず顔まで含めた審美や機能の千里の逕庭を生むのだ。
口腔イメージ図
before after
症例画像
綺麗な方です。
さらに美しくとのご希望(成人/♀)
長期間の治療だが、
この“一瞬のスマイル”のためにあるのだ

Adult Patient/♀CLUOpen Bite with Non Extraction
症例画像
           咬合平面の傾斜改善と咬合閉鎖によりフィニッシュした1年8ヶ月後の状態だが、舌突出癖に限らず、クセを直すのは難しい。原因が残っている以上、モニターはエンドレスになる可能性がある。

「治療の開始時期」

見敵必戦

矯正治療の考え方、手法手技はセンセイの数だけあると言ってよく、そのどれ(ナントカ法、カントカシステム)であろうと、ヒトの好ましい歯並びを作るという治療目標には、フシギに到達できる仕掛けになっている。

そんなわけで、“矯正の好ましい開始時期”と言っても、絶対の正解はないように思うが、早期(成長期)からの(少なくとも)受診は望ましい。

例えば、子供の患者さんの専門的観察から、将来の不正咬合発現に結びつく、指しゃぶり、口呼吸、交叉咬合等を発見、指摘してあげるだけでも重要なイミを持つ事がある。

これで案外治ったりもするからだが、生憎、効果がなく、治療的介入が必要になった場合、いわゆる2段階治療という事になる。

第一期治療で例えば前歯の被蓋を治したり、骨格の成長や習癖の整備をし、永久歯が生え終わり、成長も定まった頃、仕上げの第二期治療を行うと言うモノである。

ただし、コトはそう単純ではない、ここらへんから専門家の意見の分かれるところである。

例えば、上顎前突の症例など、第一期治療で一時的に効果がでても、その後、下顎が下後方に引っ込んでくる成長を来たすタイプや、下顎が旺盛に発育するタイプの反対咬合など、第一期治療を飛ばして、第二期にまとめて治療したほうが合理的である。

この判断が案外、難しいのである。

そんな中でも、明らかに、早期の第一期的矯正治療が望ましい場合はある。

例えば、正面から見たお顔が非対称な成長期のお子さんなどは、上顎の拡大で顎位のズレを治す事で、将来の外科手術を回避できる場合がある。

また、反対咬合は、下顎が大きいというより上顎が小さいタイプも多く、成長期に、積極的な上顎の骨格の、前方牽引療法が効果的である場合が少なくない。

顎関節疾患も早期の、例えば過蓋咬合の矯正治療で、将来の発現が予防できたりする。

これらに限らず、成人期まで放置された事で、骨格の治療機会を逸し、歯だけに限局した対応をせざるを得ない不正咬合に遭遇する事は多い。

結果が全てと言うならそれまでだが、やはり、子供さんの不正咬合を、テをこまねいて見ているのは気がひけるではないか。

“見敵必戦(テキを見たら勝ち負け関係なし)”と言う、イギリス海軍の伝統的スローガンがある。

いささかガラッパチめいた気がしないでもないものの、“時期の適切”さを求めて、対応を延々と先延ばしする、どこぞの国の国会より、その潔さが、私は好きである。

before after
下写真女性の矯正治療前後。顔貌の良好な変化があきらかである。

before
9Y/♀CLUdiv.2Malocclusion with Deep Overbite、Severe Brachy
症例画像

○○さんが、成長期に受診されたのは幸いであった。

早期の矯正治療が望まれる典型的症例である。
このまま成人期まで放置すれば、アゴの関節が
ヘンになるばかりか、形成外科の応用も必要な、
豪華テンコ盛りの矯正治療となるであろう。

after
15Yのフィニッシュの状態。
症例画像

いわゆる2段階治療を行ったが、第一期治療で
うまく成長を引き出せたため、第二期治療は
単純な非抜歯矯正ですんだ。

Dr.Ricketts(矯正界の巨人のひとり)は、私の心の師である。彼を知って30年になるが、むこうはこちらをまるで知らないと言う、淡きこと究極の、君子の交わりをして来た。彼の矯正手法をマネする事は多いが、さすがに大変難しく、せめて劣化コピーくらいにはなりたいと思う、今日この頃である。私の実力だという声に接するたび、彼の教科書の誤訳の可能性など主張してきたが、やはり直接薫陶を受ける一期一会の機会は欲しかった。彼は、すでに天国の住人でいらっしゃるからそれもままならないのである。どなたかよいイタコの方など、ご紹介いただけないだろうか。

「成長期の矯正治療」

before after
症例画像
10Y /♂CLUdiv.2Mix dentition
永久歯への生え変わり待ちと、成長の取り込みetc、が第一段階治療の目的なのだが、仕上げへのリハ−サルとも言える。
14Y第二期治療フィニッシュ時、下アゴを成長に乗っけたのがミソ(非抜歯)

before  
11Y/♀Ectopic eruption .CLU.
抜歯と非抜歯の問題-症例画像
  この年齢で、この状態なら、上顎の拡大一発で、トラブルの大部分が解決する。

after  
抜歯と非抜歯の問題-症例画像
  1年2ヶ月の、第一期と第二期治療をまとめた矯正であった。


before
15Y /♂CLUdiv.2
症例画像
  成長があるなら救われるであろうが、いずれにしろ歯列上の難易度は、More comp.である。できれば8歳くらいには受診して欲しかったケ−スである。

after
症例画像
  術後(17Y)。第一期治療をする機会がなかったので、いわばぶっつけ本番治療となった。成長が残っていたので、上顎第一小臼歯の片顎抜歯によるU級仕上げで済んだが、成長がないなら外科の対象となるシビアなケ−スであった。

「顔面の非対称と矯正」

成長期と成人の2症例につき、以下、供覧する。成人症例は顎関節のダメ−ジ、骨格の左右差が残るなど、治療効果は歯列に限定的なものになっている。

before
アゴがやや左に曲がっている(12ages/♀)
症例画像
噛み合せも左にまがっている。
このままでは顎関節にもトラブルがおこりかねない。

after
これでOK!
症例画像
わずかな正中のズレは残ったが、
タイミングよく成長をコントロ−ルしたといえる。

 成長期のお子さんの、アゴの非対称にはよく遭遇するが、本人はもちろん、ご両親にも意外に病識をもたれないもののようである。
早期治療が有効な場合が多く、拙文の中に、いささかでも情報をつかんで欲しいと思う。

before
こちらはアゴが右へ曲がっている。お口の開け閉めもうまくできない。(成人/♀)
症例画像症例画像
ノミ、カンナを持ち出したくなる時がある。(Occlusal plane tilt4o)
症例画像

歯列の不正だけでも治療は高難度となるが、Skeletal& Soft tissue /Asymmetry(顔面の非対称)、Tmj disorder(顎関節症)etc,etcと、症状のテンコ盛状態。



after  
アゴの非対称は、ここまで改善した。
顎関節もクリック音が少なくなり、スムースに動くようになった。
症例画像 症例画像

筋肉の習癖が残っており、
スマイルを作ると下アゴが右に偏位する。

症例画像

ご本人が外科を希望しなかったので、矯正の範囲での対応となった。
(詳細は省くが、CLV抜歯ケ−スの治療手順にて2.5yearsを要した)



ヘッドギア 矯正治療
成長と固定のコントロールは
矯正治療の基本中の基本。
これはヘッドギアーの絵だが、
インプラントを応用する事もある。

【あたしのジョ−】

ジョ−(アゴ)に弱点が(9Y/♀)

症例画像

お口の中
口呼吸と、それに伴う舌突出癖とか、
“Functional/ more comp.”である。

HGでの成長コントロ−ル
“立て、立つんだジョ−!”

症例画像

お口の中
Levelingというステ−ジの治療中。

Neck profileはまだ悪い(機能トラブルが残っている)が、ジョ−(アゴ)はかなりスッキリした。 専門的には前下方へ、アゴの成長をコントロ−ルした事になる。(12Y)
症例画像

『仕上げに、あと1〜2ヶ月はかかります』
『ヒドイ〜!夏休みにはハリガネ外すって、センセイが約束したのよ』
(こういうパタ−ンでは、一万円貸したじゃないかと言われても、応じる気がする)
ジョ−との熱い戦いは、取り外し式の仕上げ装置(エラスト・フィニィッシャ−)を、いかに使用してもらうかという、第二ラウンドに突入するのであった。


「抜歯と非抜歯の問題」

 結論から言えば、人種的に東洋人、ことに日本人における矯正治療は、抜歯は高頻度にならざるを得ない。

抜歯・非抜歯は、顔つき、ことに口元の審美的仕上げが可能か、最後に生える12歳臼歯が、無理なくいい位置をしめうるか、術後の安定性はどうかなどの戦略的思考の上で決定されるものである。
一概に、非抜歯矯正だからグレ−ドが高いと言えるものではない。
非抜歯で矯正を受けたとて、ひよっとこみたいな顔にされて誰が喜ぶと言うのだろう。

抜歯と非抜歯の問題-症例画像
before after
好青年○○君である。 これで、ますます好青年。


症例画像
before after
好青年○○君は、抜歯矯正なのだ


before
好青年○○君のお口の中
抜歯と非抜歯の問題-症例画像
 
after
4本の小臼歯が抜歯されている。
矯正で抜歯されても、イレバが入るわけではない。
まあ、自然界の摂理には反しない程度の仕上がりにはなる。


before
口唇閉鎖時、軟組織の緊張を伴う上顎前突(成人/♀)
症例画像

after
シビレるようだが、電気屋の娘さんなのだ。(抜歯症例)
症例画像


before
症例画像
denture/classUdiv.1,scissors bite
skeletal/brachy-facial pattern
soft tissue/upper&lower lips protrusion etc etc....
object(治療目標)はすべてmore complex(高難度)である。


after
症例画像
小臼歯、智歯を含めた大臼歯、計8本の抜歯が必要であった。
心配していた治療によるFXの開大は、本人の筋力により、よくコントロ−ルされている。



before
初診時のお顔。努力してお口を閉じている印象を受ける。下唇より下に、軟組織の緊張がみられる。(成人/♀)
症例画像

同じく、初診時のお口のなか。“開咬”という状態。口による呼吸や、それにともなう舌の突出癖といった機能トラブルがあると、この状態になる事が多い。



after
仕上げの段階のお顔。ここ10年ほど、矯正界は、軟組織の緊張がなく口が閉じられる仕上げになれば、口元のプロファイルの多少の突出感はセーフとする傾向のようである。(美的センスも一種の流行である)それもあって、○○さんも非抜歯で対応させていただいた。
症例画像

仕上げ段階のお口。舌癖があるため、L―1toAPO+8.3を、+5と、移動量を甘く計画したが、下唇下部の緊張は抜歯せずに無くす事ができた。 (メカニクスにての治療が先行してしまい、機能障害の除去に苦慮した)






before
下アゴがビミョー。(成人/♀)
症例画像

Full ClassV、Harvold−McNamara100:151:80、
Witsが-10.5。骨格性反対咬合というカテゴリー。


after
求めよ、さらば与えられん。(恋せよ乙女)
症例画像

治療期間2.5yearsであった。下アゴ第一小臼歯左右2本抜歯による、いわゆるClassVFinishだが、例によって機能性のトラブルは残っている。
神仏に祈るほどではないが、メンテナンスには顔面の色素を総動員せざるを得ない。


before
成人♀/骨格性CLV。
そもそもの主訴は、反対咬合様容貌の改善であった。
症例画像
症例画像
噛み合わせ自体は非抜歯でナントカなりそうだが、容貌の改善は非抜歯では無理であろう。

after
下顎左右4番抜歯により、側貌軟組織は、ほぼ健常者と同等の状態が得られた。正面の非対称も改善が認められる。
症例画像
症例画像
いわゆるCLVフィニッシュである。


「実際の矯正治療のすすめ方」

 まず、“診査”だが、これから症例のイメ−ジを作るステ−ジが始まる。
写真や模型、レントゲン、PCも駆使して(あるいは駆使されて)、なるたけ客観的なデ−タ−を集める。
ついで、“診断”というステ−ジになる。
得られた診査結果から、そもそも治療を実施するか、もし実施となればどういう治療目標を立てるか、治療方法はどうするかなど、最終的な互いの感情移入がなされる。

 

15Y/♂Maxillary protrusion with severe deep overbite
〇〇君/♂ Angle CLU div.1
セファログラムによれば、Brachy facial傾向の骨格をもち、McNamara lineから、軽度の上顎の突出がある。
Harvold−McNamaraでは、下顎が小さい。L1−to APOやMcHorris angleから下顎前歯の舌側傾斜が認められる、ウンタラカンタラetc、etc。と言うフイーィングで、診断が始まるのだ。


私が駆使するPC

私を駆使するPC

 いよいよ“治療開始”ともなれば、ワイヤ−が装着されるわけであり、メカニクスの働きで確かに歯並びはどんどんよくなっていく。
表側からの装置だろうと裏側からだろうと、ブレ−スが銀色だろうと透明だろうと、ちゃんと治る事が肝心なのだ。
尚、アメリカでは白人患者さんの過半数は、表側のテクニックかつ銀色のブレ−スを使用しているとの統計がある。

 最後が“ワイヤ−撤去、保定”である。
ワイヤ−はなくなるが、これも重要なステ−ジである。

ヒトは治療の為に生きているわけではないし、患者さんの身にしてみれば出来ればここらでグットバイしたいというのも、無理からぬところがある。
ただし、治療の全期間を通じて、あるいはワイヤ−が撤去された後も、例えば目にみえない機能という、大きなトラブルの、積み残しがある場合がある。

一般には馴染みが無い言葉で恐縮だが、ヒトの顔とそのまわりの形態には、目に見えない呼吸とか、嚥下、姿勢といった機能があり、それらの不全と歯列の形態不全は裏腹の関係にある。
従って、歯並びが治ったあとも、これらの不具合が不安定要因になったりするので、ある程度の期間、観察とフォロ−は必要である。

before
11Y/♀、ゼンソク、鼻アレルギ−あり
症例画像
afterbefore
なんとか治った、といいたいところだが、
まだブレ−スが装着されているのには理由がある

before
症例画像
歯並びや骨格以上に、機能のトラブルが心配な○○さん
afterbefore
症例画像
保定は、治療の第二幕といえる。まず、ワイヤ−をはずして、数週間、様子をみているところ。
非抜歯にて対応。


before
成人/♀成長期の気道障害にもとずく習癖性口呼吸あり。
(多分にそれが原因の不正咬合である)
症例画像
after
一応、フィニッシュ。
“歯列上”のトラブルは改善したが、
口呼吸の習癖はなかなかとれない。
afterafter
1年後、案の定(口呼吸のため)chin contorolが失われて、
開咬状態となってしまった。
症例画像
afterafterafter
まだ咬み合わせは甘いが、わずか1ヶ月の呼吸訓練で、
ここまで改善する。(全く器具は使っていない)

「筋機能療法」

症例画像
〇〇さん14ages/♀、舌突出癖による開咬、舌切りすずめのバアさんに頼むわけにもいかないので、いわゆるMFT(筋機能訓練)を計画。
症例画像
上顎の拡大をし、呼吸、嚥下、口唇閉鎖等の訓練をした。6ヶ月後くらいから、協力が得られるようになり、改善が認められる。
症例画像
約1年後の状況。なにより、頑張ってくれた〇〇さんに感謝します。

before
9歳の女性だが、主として口腔周囲筋のバランスがくずれた結果である。
after
メカは外れたが、術後の安定には、筋肉のトレーニングが必須である。
筋機能トレーニング前
メカの撤去にあたって、この下顎の緊張癖(ウメボシ)は
ナントカしなければ。
4週間のトレーニング後
猛訓練にて、まあまあ、ニユートラルなフンイキになった。
これが安定すればよいのだが。

「矯正治療と審美歯科」

 30年ほど前、矯正はお子様ランチの世界であった。

 私は、小さい患者さんたちと精神年齢が近接している事もあり、診療は“ジ”でいけたが、今や、オフィスでは成人矯正の割合が激増している。
 こうなると、こちらが精神上の成熟を装わねばならないというハンディのほか、治療上も一線を画す対応が必要である。

 そもそも成人は、明確に社会的優位性を求めて来院するのであって、矯正プラスアルファという治療となる事は少なくない。
 結論を言えば、審美修復が必須の仕上げとなる事が多く、歯並びの改善は、あくまでも治療の一部という事になる。

before
ファンキ−というか、パンクというか、インパクトは確かにある。(成人/♀)
矯正治療は終了したが、
審美的に、まだ満足とはほど遠い。
まずホワイトニングで色調の改善
を計っている。
after
ホワイトニングで色調の安定が得られたので、
上アゴ前歯にセラミックス修復を施したところ。
まだ改善の余地があり、追加の修復を考慮中だが、これだけでも、
得られたスマイルの威力は、社会に対する強力なパスポ−トとなりうる。


はよ治してえなあ


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