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反対咬合

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ポパイではない! 芳紀まさに18歳! 〇〇さんの前途洋々!

ポパイは反対咬合だと思う、多分。

反対咬合は上下の噛み合わせが前後的に逆転している、不正咬合の一種である。
(賛成咬合というのはない、念のため)
骨格の特徴から、日本人に多い不正咬合であり、子供の検診などで、お母さんに、相談を受ける頻度の高いものでもある。

反対咬合のバリエ−ションだが、単純に上下の前歯の噛み合わせが逆転しているものから、骨格性に逆転しているものまで、星の数ほどある。
ヒトの数は星の数より少ないのに、反対咬合が星の数ほどあるのかと言うムキもあろうが、同じ症例は絶対ないので、無数(→無限)のバリエ−ションがある事はウソではない。

わけても、“成長期の骨格性”反対咬合と判断されたものには、治療上、注意がいる。

下アゴの骨格の成長は、全身のそれとリンクしており、全身の成長が止らない限り、下アゴも、反対咬合を乗っけて成長を続けるであろう。
ここに程度とか、時間とかのファクタ−が絡んでくるが、この背景の下に、ただでさえままならない矯正治療のなかでも、一味違う治療のドラマの幕が開く。
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8Y/♀○○さん
反対咬合の初期治療をする事になった。
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初期治療のafter
これで第一段階の治療は終了。
お口の、よりよい成長を期待する為の、環境の整備がなされた。
○○さんやご家族とのコミュニケ−ションの充実を図りながら、年1〜2回の経過観察が続く。



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○○さん、6Y/♀
可愛い○○さん、おハナの穴が正面から見えるのが玉にキズ(上顎の劣成長による)。上顎下顎比100:130くらい。Maxillary depth82°、Pt.A‐2、pog‐5といったところ。
症例画像
症例画像
乳臼歯タ−ミナルプレ−ン、6ミリの近心ステップタイプ。

8Y
上顎劣成長による骨格性反対咬合である。2段階治療の計画を立てた。
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  第一期治療の一環として、上顎の前方牽引装置の適用により、CLTの確立と、Pt.Aの前進、下顎の時計回りの回転等を図った。
この装置には、いまだ専門家の間でド−タラコ−タラがあるようだが、上顎劣成長による逆被蓋改善には確かに効果があるし、まあまあ安定するようで、重宝している。
(下顎より下のバ−がアブナイので、切るべきである)
 
症例画像
同、第一期治療により前歯の被蓋が改善した状況。

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16Y
治療終了時。(非抜歯)
第一期、第二期治療、共に約2年ずつという長期の矯正治療であったが、ご本人はじめ、ご家族の皆さんにも喜んで貰える結果が得られた。おハナの穴も改善が見られる。
症例画像
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下顎の成長のため、下顎前歯がわずかに舌側傾斜しているが、写真撮影の時点では成長が止っており、これで安定すると思われる。




【第1期治療でよく使うフェイシャルマスク(前方牽引装置)
9Y/♂〇〇君。初期治療として、約1年、フェイスマスクを頑張ってくれた。これから数年間、観察の予定。
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このように、反対咬合の初期治療は5歳から10歳くらいで開始し、とりあえずのネガティブなファクターを取り除き、数年間の観察の後、骨格の成長が矯正で対応できる見極めがついた、おおむね中学生から高校生になるころに、ハリガネで仕上げをするパターンが多い。多くの症例で、観察中にgrowth(下顎の成長)が悪化したりするが、大概、なんとかなる、なんとかする。



歯の裏側にハリガネがつく舌側矯正は、反対咬合治療と相性がいいのだ!!
〇〇さんの反対咬合の舌側矯正は、コロナが猖獗を極めていた時期と重なる。マスクを着用したうえでの舌側矯正である。まさに闇夜にカラス、雪にサギ。

慎重の上にも慎重を期すその心意気!!

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1年間の治療の結果。



【頭蓋底がちいさい、スティープマンディブルのケース】

8Y/○○君、前歯部の叢生と反対咬合の改善が主訴
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レントゲンから中顔面の陥凹、下顎骨の急峻な傾斜、同じく骨体長の過大など、ただならぬフンイキがある。頭蓋骨の深部構造の分析では頭蓋の前後径が短く、CD(cranial-deflection)の過大、RP(ramus-position)の過大といった特徴があり、下顎骨の頭蓋骨に対する前方位が見て取れる。ようするに骨格性の異常が強い、いわゆるgrowthCLVというカテゴリー。前歯部の重度の叢生の問題もあるので、もろもろ勘案して、すみやかに初期治療に着手することとした。

初期治療を切り上げた観察中の14Yのころ。growthの悪化が見て取れるが、わりとフェイスマスクの協力がよく、歯列的にはこんなレベルで安定し数年が経過。
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主にHarvold-McNamara3角のバランスを観察してきたが、何とかなりそうなので、高校生になったころ、第二期のハリガネ治療に踏み切った。大体1年後の状況である。ここまで来るのに約8年が過ぎたが、○○君と、お母さんの協力と頑張りに感謝大々的??
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8年間の治療の結果。


誇らしげに笑う○○君




○○さん、7Y/♀
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上顎劣成長、下顎過成長のダブルパンチ。口蓋ヘントウ肥大につき、ほとんど口呼吸のみ。

12Y
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T期治療終了時。上下前歯の被蓋改善後、成長の観察中。著しいCLV、上顎、下顎比100:158。
その後、13Yに初潮。フツ−、女子の場合、初潮から2年ほどで成長が止るので、それを期待していたが、一向に、成長が止る気配ナシ。

17 Y
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ついに、OB/OJ、それぞれ−1、0となったが、この時点で成長はほぼ止ったと思われる。
上顎、下顎比100:163だが、幸い、矯正でカバ−できると判断した。ただし、本人が大学に行ってしまい、治療再開は、未定。



before
○○君、20Y/♂
アメリカ留学中、彼の地にて、反対咬合の矯正治療歴あり。帰国後、再発を訴え、当院に受診。いわゆるlate growth(晩期成長)による後戻りである。さらに、下アゴの左右の成長量 の差から、アゴが、左に偏位している。現地のDr.が、アジア人の成長に疎かったからではなく、いわば矯正で対応しきれない部分があったと考えるのが、妥当であろう。
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お口の中。一見、矯正単独で、ナントカなりそうだが、Long face typeの特徴のひとつである、薄く細長いSymphysisのため、下アゴ前歯の舌側への傾斜移動に難がある他、難しいアゴの偏位の改善が必要である。やはり、外科併用が望ましいと判断した。

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PC上でのpaper surgeryの結果を踏まえ、SSROで対応。
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rigidなCLT咬合が得られた。術後矯正は最小限で済みそうである。

反対咬合治療は成長と付き合うため、治療のゴ−ルが見えて来るのに、矯正科に長期間(10年とか!)通院しなければならない他、成長の予測はそもそも難しく、治療タイミングの齟齬があれば、治療後の“残存”成長による後戻りの可能性もある。
さらには、このテのアゴは、矯正治療の限界を超えた立派なモノに成長する場合があり、長年の治療努力の果てに、結局、アゴを切ろうというハナシになる場合もある等、血湧き肉踊る治療模様が描かれるのだ。

これらは矯正の失敗を意味するものではない。

しかし、患者さんの思想、言論の自由は、憲法で保証されており、フクザツで長期に亘る治療でもある、私の気品に満ちた物腰とは裏腹に、ツッコミ所はテンコ盛りに違いない。とは言え、これが、この治療の持ち味とも言える。

最近の小惑星探査機の例もある、ヨレヨレになっても任務を果たしたという大団円など、むしろ劇的で感動モノではないか。実際、最後にはそれなりの落としどころが必ずあるワケで、楽観的に構えてソンは無い。

ソレで十分見合うものがあるので、成長期の骨格性反対咬合の矯正は治療として成り立っており、それ以上でも、それ以下でもない。

思うに、社会だって、楽観的に構えてこそ成り立っている事が多いではないか。

選挙や宝クジ、株や保険や結婚や水戸黄門ドラマを思っても見よ、そして日本国そのものが、恐るべき国債の残高を前に、楽観論で、今日も成り立っているのだ、反対咬合の矯正治療を、楽観主義で乗り切るのに、バチは当たるまい。




○○さん(当時18Y/♀)は反対咬合の矯正でおかかりになった方である。ご本人の都合で来院が半年に1度になったりと、血沸き肉躍る治療経過をたどったが、なんとか成就させる事ができた。万感の思いを込めて彼女との思い出を、ここにアップする。

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症例画像
facial-angle、faicial-depth、ANB、ABplane、Yaxisすべて1SD超の骨格性の要素がある反対咬合であったが、Pogの突出はさほどでもない。IMPAも内傾の程度がさほどでもなく、切端咬合位でOJが著しいマイナスを示さず、CLV関係の是正も一般矯正の範囲で改善可能と思えたので、外科はオミット
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顎間ゴム使用のメカニクスも考えたが、協力してもらえるか不安があった。そこで下顎骨内に智歯の存在を確認したうえ、下顎左右第一大臼歯の抜歯で、下顎顎内を主体とした矯正治療をする事にした。

治療中にタイミングよく智歯が生えてきて、トータル約2.5Yearsで、みかけ非抜歯のごとく反対咬合を改善させる事ができた。

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○○君10Y/♂骨格にモンダイのある成長期反対咬合
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Faicial pattern/Dolico、いわゆるSteep mandible、上下顎比率は100:135とバランス悪く、思春期以降、これが嵩じない事を祈りたい。下顔面高が大きいのでANB、convexityは、ともに僅かにプラス、お顔のフンイキは今のところノーマルである。

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症例画像
矯正治療の面白いところは、ほぼ同等の治療結果を得る為に、物凄い数の手法、考え方が並行宇宙のように存在する事である。

〇〇君のような、成長期骨格性CLVの早期治療にも、諸々のアプロ−チが考えられるが、概ね、第一期治療で、前歯の逆被蓋を改善した後は、成長完了まで経過観察に留めるのが原則である。

ただし、〇〇君の場合、10agesの初診から永久歯交換までの2年の観察期間において、上顎、下顎の大きいプロポーションのバランスの崩れが無く、FX、咬合平面の傾斜などもほとんど変化が無かったので、14Yに通常のCLV非抜歯矯正の治療手順に従い、10ヶ月間の第二期治療ののち、一応のフィニッシュとした。

当然、成長完了までモニタ−が必要だが、一刻も早い安定化を願ってやまないところだ。(同様に、福島原発の安定化も願ってやまないところだ)
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症例画像
成長期骨格性反対咬合の早期治療(成長抑制治療)と言っても、下手をすると本来の成長にヒズミがでるような気がする。できれば前歯の被蓋の改善にとどめ、大事な子供時代をノビノビさせてやりたいものだ。
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症例画像
あくまで一応のフィニッシュである。成長のたっぷり残っている現時点で舌側傾斜している下顎前歯など見れば、成長がらみの再治療の可能性は捨てきれない。

 

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CLV/成人♀
上顎、下顎比100:134だがCO−CRの不一致が著しく、機能性の反対咬合と判断。
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afterのbefore
カンタンな部類の反対咬合治療であり、わずか6ヶ月でここまで改善する。


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都合、12ヶ月の矯正治療であったが、○○さんが得たものは大きい。




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症例画像
CLVCrowding/成人♀
L1−APo+10、39.8゜上顎、下顎比100:151
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症例画像
Skeletalのファクターが強いが、矯正単独の対応が可能と判断。
上顎第二小臼歯、下顎第一小臼歯各2本の抜歯で対応した。

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