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うまくいかない矯正治療

どんな大先生でも、うまくいかない矯正治療というものはある。

ここでいう、“うまくいかない”、というのは、歯の並びかえそのものではない。
なんとか治した、何年か後におきるトラブルも、含まれている。例えば、程度の差こそあれ、矯正治療後の“後戻り”は、やはり起こるのだ。

もちろん、よほどヒドイ治療でないかぎり、全滅、元の木阿弥、これが治療結果であるというなら、前の状態は、この世のものでなかった、というわけではないし、それなりのフォロ−も可能であり、たいてい不都合はない。矯正治療とは、そういうものである。

一番困るのは、こういう、不都合な事態にたいする説明を求められるときだ。
(好都合な事態には、説明を求められないのがフシギである)
複雑で長期にわたる矯正治療は、スーパ−コンピュ−タ−でも理解しえない、さまざまな経緯があったに違いない。
原因と結果の因果関係は、解釈はともかく、確定するのは困難な場合が多いのだ。
患者さんに、この、こみいった事情を、説明するのは難しい。

そもそも、“説明”という言葉だが、これほど医療サイドを悩ませる概念はない。
例えば、1たす1が2であることは、幼稚園児ですら、知っている。
では、どうしてそういいきれるのか、と問われれば、何人のヒトが、明確に説明できるだろう。
ようするに、センセイがそういうから、そうに違いないという、暗黙の信頼関係がある場合には、説明は説明として、当たり前のごとく成り立つが、そうでない場合、容易に、釈明というフンイキになりかねない。
こういうパタ−ンでは、長時間、大汗かいて話した内容が、まるで相手に伝わっていなかったという経験は、少なからずあり、説明のたびに、いちいち、理解度のテストも、あわせて実施すべきではないか、とすら思う事もある。

そんな時、私は、毅然とした態度をとる。
まず、弱々しく微笑み、ついで、事態が悪化する前に、急用を思い出すのだ。

before
その名もいかめしい“骨格性V級反対咬合”(成人/♀)
症例画像
動的治療終了時
after

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症例画像
下アゴの右への偏位、モッコリ感、口唇閉鎖時の周囲軟組織の緊張
症例画像
著しい叢生をともなう狭窄した上顎歯列、臼歯の近心傾斜とfull classVの咬合
after
症例画像
お顔もより美しくなられました
症例画像
上アゴは第二小臼歯、下アゴは第一小臼歯の抜歯で対応。メカの適応にあたって、PT.Aのコントロ−ルに注意した。動的治療期間2年2ヶ月で、ほぼ良好な咬合関係が得られた。
ただし、これでゲ−ムセットではない。(ここでコラム本文にもどる)

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