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診療の紹介

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学校歯科医

私の仕事のひとつに、とある高校に赴いて行う学校歯科医(保健室で、歯科検診に従事する歯医者さん)がある。
4月の声を聞くと、なじみの養護の先生から電話が来て、スケジュ−ルの打ち合わせなどし、いそいそと出かけ、生徒さんに歯科疾患の警告を発するのだが、ヒトを不安がらせる仕事と言ってもよい。(有益であるとは思う)

大勢の生徒さんを、流れ作業的に、短時間で検診してゆくが、静粛とは無縁の年頃の、元気そのものの生徒さんたちである、記録を取ってくれる養護の先生や、立会いの男性教諭が『静かに!』とか注意するたび、多少は静かになって、なんとか進行していく。

公衆衛生の普及で、生徒さんの、お口の衛生状態も、おおむね改善の傾向にあるし、ノンカリ(ムシバがない)も増えたが、やはり一定の割合で、どうしたらそこまでになれるのか、ヒケツ(というか原因)を聞きたいと思う生徒さんは、残念ながらいらっしゃる。
こういう方は、念入りにオドかしたいものだ。(私が治療するぞ、とか)

矯正の検診項目もあるが、実は、矯正学的な正常咬合者はむしろマレだし、マジメに診査すれば、ほぼ全員が不正咬合になってしまう。
全員が異常なら、異常は正常ではないか。(私が、自分は正常なのだと主張する根拠が、ここにある)

ともあれ歯科検診はいささか正確さに欠ける上、矯正のように、踏み込んだアドバイスが必要な場合も、立場上できかねる。
言外の意味を汲み取ってもらいたい場合は多く、さらに歯科検診そのものが言外の意味の固まりなのを、皆さんもわかって欲しい。

私と、歯科検診をさせていただく生徒さんとの出会いも、一期一会に変わりはない。
老眼、フシ穴などの定評はあるものの、そんな眼力をもって、できるだけの事をしてあげたい気持ちは、いつもいっぱいなのだ。
なにより生徒さんと、私の健康を願ってやまない。

一度だけ、短い講演を頼まれた。
日頃、誰も私をわかってくれないと悩んでいたので、よい機会とも思われたが、わかってもらうと講演を頼むヒトがいなくなる恐れがある。
与えられたのは、学校保険法でいう“食育”という硬いテ−マであり、講演が終わると、会場の皆さんがパッと顔を輝かせてくれた。
そのタイミングが多少気になったものの、私の講演後、喜んでもらえた事には変わりが無い。(と思う)
校長先生には、『貴重な“おハナシ”を有難うございました』と言っていただいたが、その後、講演の依頼は、今のところない。

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