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診療の紹介

矯正治療について

  矯正は、狭い口腔の、それも一部エリアにおける歯の配列具合を、ウンヌンする治療である。

 しかし、それにより得られる数ミリ、1度2度といった差が、歯列のみならず顔まで含めた審美や機能の千里の逕庭を生むのだ。
口腔イメージ図

症例画像
before after
綺麗な方です。
さらに美しくとのご希望(成人/♀)
長期間の治療だが、
この“一瞬のスマイル”のためにあるのだ

 治療の実施にあたっては、患者さんごとに個別の対応が必要であり、診査診断を通じ、理解を深めなければならない事柄は多い。
よく質問を受ける項目は、以下のようなものである。

「歯はなぜ動くのだろう?」

 ミクロのレベルでは、骨細胞内の酸素分圧にまで話をふらなければならないが、おおむねワイヤ−の外力により、軽微な炎症を歯の周りの骨組織に連続的に起こさせる事で動くと言って良いだろう。
 炎症であるので、当然痛みを伴うが、あくまでも装置が働き始めるごく初期である。
 治療期間のすべてにおいて痛みを伴うわけではない。

「治療の開始時期について」

 個別の経済事情や動機が優先される事が多く、必ずしも理想的な治療チャンスが術患に用意されるわけではないが、概して成長期に受診すれば、成長を利用出来る分成人症例より有利になる事が多い。
 すなわち、抜歯を回避出来るチャンスが多くなるなど、してあげられる事が多くなるのだ。

抜歯と非抜歯の問題-症例画像
before after
八重歯が悩みのタネ(11ages/♀) さながら粘土細工の如く(非抜歯)

症例画像
before after
10歳の坊や、成長は頼もしい味方だ 下アゴを成長に乗っけたのがミソ
(非抜歯)

症例画像
before after
成長がたっぷり残っていれば、
非抜歯も可能と思われた症例。
(15ages/♂)
外科を回避するためには、
上アゴ第一小臼歯の抜歯は、
やむをえなかった。

 ことに、成長期、顔面の非対称があるケ−スなど、そのまま成人になれば外科的対処しか顔面の歪みを治す方法はなくなってしまうが、これも適切な矯正治療で、案外解決したりする。

before
アゴがやや左に曲がっている(12ages/♀)
症例画像
噛み合せも左にまがっている。
このままでは顎関節にもトラブルがおこりかねない。

after
これでOK!
症例画像
わずかな正中のズレは残ったが、
タイミングよく成長をコントロ−ルしたといえる。

 成長期のお子さんの、アゴの非対称にはよく遭遇するが、本人はもちろん、ご両親にも意外に病識をもたれないもののようである。
早期治療が有効な場合が多く、拙文の中に、いささかでも情報をつかんで欲しいと思う。

before
こちらはアゴが右へ曲がっている。お口の開け閉めもうまくできない。(成人/♀)
症例画像症例画像
ノミ、カンナを持ち出したくなる時がある。(Occlusal plane tilt4o)
症例画像

歯列の不正だけでも治療は高難度となるが、Skeletal& Soft tissue /Asymmetry(顔面の非対称)、Tmj disorder(顎関節症)etc,etcと、症状のテンコ盛状態。



after  
アゴの非対称は、ここまで改善した。
顎関節もクリック音が少なくなり、スムースに動くようになった。
症例画像 症例画像

筋肉の習癖が残っており、
スマイルを作ると下アゴが右に偏位する。

症例画像

ご本人が外科を希望しなかったので、矯正の範囲での対応となった。
(詳細は省くが、CLV抜歯ケ−スの治療手順にて2.5yearsを要した)



ヘッドギア 矯正治療
成長と固定のコントロールは
矯正治療の基本中の基本。
これはヘッドギアーの絵だが、
インプラントを応用する事もある。

【あたしのジョ−】

ジョ−(アゴ)に弱点が(9ages/♀)

症例画像

お口の中
口呼吸と、それに伴う舌突出癖とか、
“Functional/ more comp.”である。

HGでの成長コントロ−ル
“立て、立つんだジョ−!”

症例画像

お口の中
Levelingというステ−ジの治療中。

Neck profileはまだ悪い(機能トラブルが残っている)が、ジョ−(アゴ)はかなりスッキリした。 専門的には前下方へ、アゴの成長をコントロ−ルした事になる。(12ages)
症例画像

『仕上げに、あと1〜2ヶ月はかかります』
『ヒドイ〜!夏休みにはハリガネ外すって、センセイが約束したのよ』
(こういうパタ−ンでは、一万円貸したじゃないかと言われても、応じる気がする)
ジョ−との熱い戦いは、取り外し式の仕上げ装置(エラスト・フィニィッシャ−)を、いかに使用してもらうかという、第二ラウンドに突入するのであった。


「治療期間」

 症状、治療法、治療開始時期により、かなりの差が出る。

 あまり複雑でないケ−スなど、むしろ永久歯列になってからの方が、ワイヤ−の装着期間は少なくて済んだりするが、これとてワイヤ−撤去後の保定という問題もある。
 早く済めばよい、という単純なものではないのだ。

 一般的には、永久歯列からの本格矯正は2〜3年であるが、小学校1〜2年よりの受診者なら12歳の永久歯列完成期以降にゴ−ルを定めるのが普通なので、ざっと6〜7年以上は矯正歯科に通わねばならない。
 もっとも、実際のワイヤ−なりなんなりの装置装着期間はせいぜい2年くらいの事が多く、それ以外の期間は定期診査と称する様子見である。

 また、成長により、増悪するタイプの反対咬合などは、成長が完全にとまる20歳くらいまで、なんらかの治療的対応が必要だったり、あらかじめ外科を視野に入れた治療プランを立てねばならない事もある。

 

「抜歯と非抜歯の問題」

 結論から言えば、人種的に東洋人、ことに日本人における矯正治療は、抜歯は高頻度にならざるを得ない。

 抜歯・非抜歯は、顔つき、ことに口元の審美的仕上げが可能か、最後に生える12歳臼歯が、無理なくいい位置をしめうるか、術後の安定性はどうかなどの戦略的思考の上で決定されるものである。
 一概に、非抜歯矯正だからグレ−ドが高いと言えるものではない。
 非抜歯で矯正を受けたとて、ひよっとこみたいな顔にされて誰が喜ぶと言うのだろう。

抜歯と非抜歯の問題-症例画像
before after
好青年○○君である。 これで、ますます好青年。


症例画像
before after
好青年○○君は、抜歯矯正なのだ


before
好青年○○君のお口の中
抜歯と非抜歯の問題-症例画像
 
after
4本の小臼歯が抜歯されている。
矯正で抜歯されても、イレバが入るわけではない。
まあ、自然界の摂理には反しない程度の仕上がりにはなる。


before
口唇閉鎖時、軟組織の緊張を伴う上顎前突(成人/♀)
症例画像

after
シビレるようだが、電気屋の娘さんなのだ。(抜歯症例)
症例画像


before
症例画像
denture/classUdiv.1,scissors bite
skeletal/brachy-facial pattern
soft tissue/upper&lower lips protrusion etc etc....
object(治療目標)はすべてmore complex(高難度)である。


after
症例画像
小臼歯、智歯を含めた大臼歯、計8本の抜歯が必要であった。
心配していた治療によるFXの開大は、本人の筋力により、よくコントロ−ルされている。



before
初診時のお顔。努力してお口を閉じている印象を受ける。下唇より下に、軟組織の緊張がみられる。(成人/♀)
症例画像

同じく、初診時のお口のなか。“開咬”という状態。口による呼吸や、それにともなう舌の突出癖といった機能トラブルがあると、この状態になる事が多い。



after
仕上げの段階のお顔。ここ10年ほど、矯正界は、軟組織の緊張がなく口が閉じられる仕上げになれば、口元のプロファイルの多少の突出感はセーフとする傾向のようである。(美的センスも一種の流行である)それもあって、○○さんも非抜歯で対応させていただいた。
症例画像

仕上げ段階のお口。舌癖があるため、L―1toAPO+8.3を、+5と、移動量を甘く計画したが、下唇下部の緊張は抜歯せずに無くす事ができた。 (メカニクスにての治療が先行してしまい、機能障害の除去に苦慮した)






before
下アゴがビミョー。(成人/♀)
症例画像

Full ClassV、Harvold−McNamara100:151:80、
Witsが-10.5。骨格性反対咬合というカテゴリー。


after
求めよ、さらば与えられん。(恋せよ乙女)
症例画像

治療期間2.5yearsであった。下アゴ第一小臼歯左右2本抜歯による、いわゆるClassVFinishだが、例によって機能性のトラブルは残っている。
神仏に祈るほどではないが、メンテナンスには顔面の色素を総動員せざるを得ない。


before
成人♀/骨格性CLV。
そもそもの主訴は、反対咬合様容貌の改善であった。
症例画像
症例画像
噛み合わせ自体は非抜歯でナントカなりそうだが、容貌の改善は非抜歯では無理であろう。

after
下顎左右4番抜歯により、側貌軟組織は、ほぼ健常者と同等の状態が得られた。正面の非対称も改善が認められる。
症例画像
症例画像
いわゆるCLVフィニッシュである。


「実際の矯正治療のすすめ方」

 まず、“診査”だが、これから症例のイメ−ジを作るステ−ジが始まる。
 写真や模型、レントゲン、PCも駆使して(あるいは駆使されて)、なるたけ客観的なデ−タ−を集める。
 ついで、“診断”というステ−ジになる。
 得られた診査結果から、そもそも治療を実施するか、もし実施となればどういう治療目標を立てるか、治療方法はどうするかなど、最終的な互いの感情移入がなされる。

レントゲン診査で得られる情報は多いが、全てではない。



私が駆使するPC

私を駆使するPC

 いよいよ“治療開始”ともなれば、ワイヤ−が装着されるわけであり、メカニクスの働きで確かに歯並びはどんどんよくなっていく。
 表側からの装置だろうと裏側からだろうと、ブレ−スが銀色だろうと透明だろうと、ちゃんと治る事が肝心なのだ。
 尚、アメリカでは白人患者さんの過半数は、表側のテクニックかつ銀色のブレ−スを使用しているとの統計がある。

 最後が“ワイヤ−撤去、保定”である。
 ワイヤ−はなくなるが、これも重要なステ−ジである。

 ヒトは治療の為に生きているわけではないし、患者さんの身にしてみれば出来ればここらでグットバイしたいというのも、無理からぬところがある。
 ただし、治療の全期間を通じて、あるいはワイヤ−が撤去された後も、例えば目にみえない機能という、大きなトラブルの、積み残しがある場合がある。

 一般には馴染みが無い言葉で恐縮だが、ヒトの顔とそのまわりの形態には、目に見えない呼吸とか、嚥下、姿勢といった機能があり、それらの不全と歯列の形態不全は裏腹の関係にある。
 従って、歯並びが治ったあとも、これらの不具合が不安定要因になったりするので、ある程度の期間、観察とフォロ−は必要である。

before
11ages/♀、ゼンソク、鼻アレルギ−あり
症例画像
afterbefore
なんとか治った、といいたいところだが、
まだブレ−スが装着されているのには理由がある

before
症例画像
歯並びや骨格以上に、機能のトラブルが心配な○○さん
afterbefore
症例画像
保定は、治療の第二幕といえる。まず、ワイヤ−をはずして、数週間、様子をみているところ。
非抜歯にて対応。


before
成人/♀成長期の気道障害にもとずく習癖性口呼吸あり。
(多分にそれが原因の不正咬合である)
症例画像
after
一応、フィニッシュ。
      “歯列上”のトラブルは改善したが、
口呼吸の習癖はなかなかとれない。
afterafter
1年後、案の定(口呼吸のため)chin contorolが失われて、
開咬状態となってしまった。
症例画像
afterafterafter
まだ咬み合わせは甘いが、わずか1ヶ月の呼吸訓練で、
ここまで改善する。(全く器具は使っていない)



「矯正治療と審美歯科」

 30年ほど前、矯正はお子様ランチの世界であった。

 私は、小さい患者さんたちと精神年齢が近接している事もあり、診療は“ジ”でいけたが、今や、オフィスでは成人矯正の割合が激増している。
 こうなると、こちらが精神上の成熟を装わねばならないというハンディのほか、治療上も一線を画す対応が必要である。

 そもそも成人は、明確に社会的優位性を求めて来院するのであって、矯正プラスアルファという治療となる事は少なくない。
 結論を言えば、審美修復が必須の仕上げとなる事が多く、歯並びの改善は、あくまでも治療の一部という事になる。

before
ファンキ−というか、パンクというか、インパクトは確かにある。(成人/♀)
矯正治療は終了したが、
審美的に、まだ満足とはほど遠い。
まずホワイトニングで色調の改善
を計っている。
after
ホワイトニングで色調の安定が得られたので、
上アゴ前歯にセラミックス修復を施したところ。
まだ改善の余地があり、追加の修復を考慮中だが、これだけでも、
得られたスマイルの威力は、社会に対する強力なパスポ−トとなりうる。


はよ治してえなあ


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