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反対咬合

ポパイは反対咬合だと思う、多分。

反対咬合と言っても、咬合に反対はない。(アンポとか関係ないのだ)
上下の噛み合わせが、前後的に逆転している、不正咬合の一種である。
骨格の特徴から、日本人に多い不正咬合であり、子供の検診などで、お母さんに、相談を受ける頻度の高いものでもある。

反対咬合のバリエ−ションだが、単純に上下の前歯の噛み合わせが逆転しているものから、骨格性に逆転しているものまで、星の数ほどある。
ヒトの数は星の数より少ないのに、反対咬合が星の数ほどあるのかと言うムキもあろうが、同じ症例は絶対ないので、無数(→無限)のバリエ−ションがある事はウソではない。

わけても、“成長期の骨格性”反対咬合と判断されたものには、治療上、注意がいる。

下アゴの骨格の成長は、全身のそれとリンクしており、全身の成長が止らない限り、下アゴも、反対咬合を乗っけて成長を続けるであろう。
ここに程度とか、時間とかのファクタ−が絡んでくるが、この背景の下に、ただでさえままならない矯正治療のなかでも、一味違う治療のドラマの幕が開く。

before
8ages/♀○○さん
反対咬合の初期治療をする事になった。
症例画像
初期治療のafter
これで第一段階の治療は終了。
お口の、よりよい成長を期待する為の、環境の整備がなされた。
○○さんやご家族とのコミュニケ−ションの充実を図りながら、年1〜2回の経過観察が続く。



before
○○さん、6ages/♀
可愛い○○さん、おハナの穴が正面から見えるのが玉にキズ(上顎の劣成長による)。上顎下顎比100:130くらい。Maxillary depth82°、Pt.A‐2、pog‐5といったところ。
症例画像
症例画像
乳臼歯タ−ミナルプレ−ン、6ミリの近心ステップタイプ。

8ages
上顎劣成長による骨格性反対咬合である。2段階治療の計画を立てた。
症例画像
  第一期治療の一環として、上顎の前方牽引装置の適応により、CLTの確立と、Pt.Aの前進、下顎の時計回りの回転等を図った。
この装置には、いまだ専門家の間でド−タラコ−タラがあるようだが、上顎劣成長による逆被蓋改善には確かに効果があるし、まあまあ安定するようで、重宝している。
(下顎より下のバ−がアブナイので、切るべきである)
 
症例画像
同、第一期治療により前歯の被蓋が改善した状況。

after
16ages
治療終了時。(非抜歯)
第一期、第二期治療、共に約2年ずつという長期の矯正治療であったが、ご本人はじめ、ご家族の皆さんにも喜んで貰える結果が得られた。おハナの穴も改善が見られる。
症例画像
症例画像
下顎の成長のため、下顎前歯がわずかに舌側傾斜しているが、写真撮影の時点では成長が止っており、これで安定すると思われる。



○○さん、7ages/♀
症例画像
上顎劣成長、下顎過成長のダブルパンチ。口蓋ヘントウ肥大につき、ほとんど口呼吸のみ。

12ages
症例画像
T期治療終了時。上下前歯の被蓋改善後、成長の観察中。著しいCLV、上顎、下顎比100:158。
その後、13agesに初潮。フツ−、女子の場合、初潮から2年ほどで成長が止るので、それを期待していたが、一向に、成長が止る気配ナシ。

17 ages
症例画像
ついに、OB/OJ、それぞれ−1、0となったが、この時点で成長はほぼ止ったと思われる。
上顎、下顎比100:163だが、幸い、矯正でカバ−できると判断した。ただし、本人が大学に行ってしまい、治療再開は、未定。



before
○○君、20ages/♂
アメリカ留学中、彼の地にて、反対咬合の矯正治療歴あり。帰国後、再発を訴え、当院に受診。いわゆるlate growth(晩期成長)による後戻りである。さらに、下アゴの左右の成長量 の差から、アゴが、左に偏位している。現地のDr.が、アジア人の成長に疎かったからではなく、いわば矯正で対応しきれない部分があったと考えるのが、妥当であろう。
症例画像
お口の中。一見、矯正単独で、ナントカなりそうだが、Long face typeの特徴のひとつである、薄く細長いSymphysisのため、下アゴ前歯の舌側への傾斜移動に難がある他、難しいアゴの偏位の改善が必要である。やはり、外科併用が望ましいと判断した。

after
PC上でのpaper surgeryの結果を踏まえ、SSROで対応。
症例画像
rigidなCLT咬合が得られた。術後矯正は最小限で済みそうである。

反対咬合治療は成長と付き合うため、治療のゴ−ルが見えて来るのに、矯正科に長期間(10年とか!)通院しなければならない他、成長の予測はそもそも難しく、治療タイミングの齟齬があれば、治療後の“残存”成長による後戻りの可能性もある。
さらには、このテのアゴは、矯正治療の限界を超えた立派なモノに成長する場合があり、長年の治療努力の果てに、結局、アゴを切ろうというハナシになる場合もある等、血湧き肉踊る治療模様が描かれるのだ。

これらは矯正の失敗を意味するものではない。

しかし、患者さんの思想、言論の自由は、憲法で保証されており、フクザツで長期に亘る治療でもある、私の気品に満ちた物腰とは裏腹に、ツッコミ所はテンコ盛りに違いない。とは言え、これが、この治療の持ち味とも言える。

最近の小惑星探査機の例もある、ヨレヨレになっても任務を果たしたという大団円など、むしろ劇的で感動モノではないか。実際、最後にはそれなりの落としどころが必ずあるワケで、楽観的に構えてソンは無い。

ソレで十分見合うものがあるので、成長期の骨格性反対咬合の矯正は治療として成り立っており、それ以上でも、それ以下でもない。

思うに、社会だって、楽観的に構えてこそ成り立っている事が多いではないか。

選挙や宝クジ、株や保険や結婚や水戸黄門ドラマを思っても見よ、そして日本国そのものが、恐るべき国債の残高を前に、楽観論で、今日も成り立っているのだ、反対咬合の矯正治療を、楽観主義で乗り切るのに、バチは当たるまい。

before
CLV/成人♀
上顎、下顎比100:134だがCO−CRの不一致が著しく、機能性の反対咬合と判断。
症例画像
afterのbefore
カンタンな部類の反対咬合治療であり、わずか6ヶ月でここまで改善する。




before
症例画像
CLVCrowding/成人♀
L1−APo+10、39.8゜上顎、下顎比100:151
after
症例画像
Skeletalのファクターが強いが、矯正単独の対応が可能と判断。
上顎第二小臼歯、下顎第一小臼歯各2本の抜歯で対応した。

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